05.29
ヘバーデン結節だと思ったら、弾発指でした
昨年の10月上旬、突然、左手の親指が痛むようになり、物をつまむような、指先に力を入れる動作が困難になった。
よく見ると、第1関節が少し腫れたり、変形もしているようだった。
とりあえず調べてみて、ヘバーデン結節らしいという結論を得た。
他の疾患も幾つか考えられたが、それぞれの特徴を考慮した結果、たぶん、これであろうということになったのである。
日常生活にも少し支障がある(例えば、右手の爪が切れない)し、関節リウマチとかではいけないので、念のために整形外科を受診した方がいいとは思った。
だが、おひとりさま介護の忙しさにとり紛れて、そのまま放置してしまった。
「どうせヘバーデン結節なのだから、病院に行っても治療らしい治療はしてもらえない」
「どうせ、何の治療もしてもらえないのならば、病院に行っても行かなくても、同じこと。わざわざ、仕事を休んでまで、受診する必要はない」
そんな思いに、とらわれていたのである。
痛む指は、なるべく使わないようにしているうちに、数カ月が経過すると、痛みはかなり和らいできた。なので、なおのこと、「病院に行かなければ」と思うことは減ってきていた。
だが先日、ふと見たら、親指の変形がひどくなった感があり、さらに、指が曲がったまま伸びなくなってしまっているのに気づいた。
↑↑ このように、くの字に曲がったまま、元に戻らない、まっすぐに伸びないのである。
これではさすがに、指を使ううえで不便であるし、美観も悪い。元に戻るものであるならば、戻したい。
なので、思い切って、自宅近くに開院した、土曜日の午後も診療を行っている整形外科を、受診してみた。
そうしたら。
何よりもまず、ヘバーデン結節ではなかった。
典型的な症状や徴候が現れていないらしく、医師は、診断にかなり迷っていたが、とりあえず、ヘバーデン結節の「へ」の字も出なかった。レントゲン撮影の結果、ヘバーデン結節に特有の兆候が認められなかったのであろう。
そして、最終的に、弾発指(ばね指)だろうということになった。
弾発指ならば、当然認められるはずの、指のつけ根の靭帯性腱鞘に異常を認めなかったので、診断が難しかったようだ。
実際私も、指のつけ根に異常を感じないので、ばね指ではないと思っていたのである。
専門機器による画像診断や、この道20年の整形外科専門医が行う視診・触診は、侮れないということだ。
症状発生から半年以上も放置していたため、病状はかなり悪化し、最も重いGradeIVにまで進行していたようだ。
この、曲がったまま固まってしまって、元に戻らない指。とりあえず、ステロイド注射をして、しばらくストレッチを続けることで、改善されればよいが。伸びるようにならないなら、手術ということになる。
とりあえず、自分でストレッチを続けてみると、曲がってしまったところが、少しは伸びるようになってきた。
かなり痛くても、メゲずにストレッチを続けることで、手術をせずに済めばよいのだが。さて、どうなることやら。
それにしても今回は、やはり素人判断は禁物であるということ、身体に明白な異常が生じたら、様子を見てばかりいないで、専門医を受診すべきなのだということを、思い知った。
長い長い間、身体症状症[身体表現性障害]で、身体に異常を感じても「身体は、どこも悪くありません」と、何もしてもらえないことに慣れすぎてしまっていた。身体に何か症状が出ても、病院に行くということをしなくなっていた。
身体に症状などの苦痛を感じても、それと共存していくしか道はないのだと、思い込むようになってしまっていた。
けれど確かに。明確に身体に異常が生じているのであれば。適切な診断と治療で治すことができるし、早期に治療をしなければ、手遅れになることもある。
そういったことを、今回、あらためて知ることができた。
無理矢理に、身体のあらゆる苦痛や不快、不便を受け容れ、共存することを目指す必要はない。
適切な治療によって治ったり、軽減したり緩和される症状であるのならば、それは、治療して構わない。いやむしろ、そうすべきである。
そのように思えたことが、今回の一件の、とても大きな収穫であった。
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