10.01
アニソンでエンパワーメント・その2─「スターダストアイズ」『鎧伝サムライトルーパー』より
第2回目は『鎧伝サムライトルーパー』(1988-89)の第1期オープニング曲「スターダストアイズ」である。
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スターダストアイズ〔TVサイズ〕
作詞:三浦徳子
作曲:茂村泰彦
歌:浦西真理子
Eyes… この街はいつも
瞳哀しくて…
砕け散った月を いつかつなぎとめて
夜空へ飾りたい
心のYOROIは 暖かくはないさ
It's the time ! Do the best !
勇気の向こう側へ…
Eyes… この街はいつも
スターダスト降らせてる
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『サムライトルーパー』のオープニング曲は、第2期の「サムライハート」(作詞:三浦徳子 / 歌:森口博子)の方が有名だろう。
こちらも「むなしさ抱くヨロイを / 脱ぎ捨てよう / 勇気だけの素肌で」と、歌詞の趣旨は同じである。
フルサイズの歌詞ならば、私も「サムライハート」の方が好きである。だがTVサイズならば、「スターダストアイズ」の方に軍配が上がる。
ゆえにこの場では、こちらを取り上げたい。
一人で心を閉ざしていないで、勇気を出して、心の鎧を脱ぎ捨てよう。
何とも、ストレートなアドバイスである。
社交不安障害[不安症](対人恐怖症)の者にしてみれば、他人からこんなアドバイスをしたり顔でされたら、人の気も知らないでと、反発を感じてしまう。
そんなことはわかっている。わかっているのにうまくいかないから、困っているんじゃないかと。
お前は心に壁をつくっている、鎧をまとっていると、批判するのはたやすい。
何度も深く傷ついた果てに、そうせざるを得なくなった者の心を思いやることなく、ただ正論を述べたてるだけなら、誰にでもできる。
そんな否定から発する言葉は、当人の心を傷つけ、力を奪い、萎えさせるだけだ。
だが、自分で自分に歌ってやるのであれば、こうした言葉も素直に受け止められる。自然に共感でき、スムーズに自分の中に入ってくる。
己を苛む鞭の言葉ではなく、己を支える杖の言葉、自己を奮い立たせる光の言葉になる。
曲全体の哀感に満ちたイメージ、明るすぎない雰囲気が、却って、苦しみの中から立ち上がろうとする、励ましを与えてくれる。
そして、冒頭の「砕け散った月」。
これが何の暗喩ないしは象徴であるのかには、人それぞれの解釈があるだろう。
私自身は、「夢」だと解していた。
この歌を最初に聞いたのは、東京暮らしをしていた頃。大学病院で心理療法を受け、病気を治して生涯の夢を果たすつもりで上京したのに、少しも目論見どおりにいかず、夢破れたと、感じていた時期であったから。
けれど、今この時に。私は別のことを考えている。
本ブログの、友だち限定記事を利用して運営していたコミュニティ。会議室とか円卓と称していたものが、アーサー王の円卓よろしく、7月に崩壊してしまった。
その円卓が、ふとしたことから再生できるかもしれない。復活の兆しが見えてきたのである。
もう一度、夜空に飾りたい月。
今の私にとって、それは、この円卓のことなのである。
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