05.09
病病介護短歌:大金と我[われ]の苦労が泡と消ゆ……
大金と我[われ]の苦労が泡と消ゆ
認知症ゆえそれもやむなし
*自費診療で、何十万円もかけて作った入れ歯を、母がなくしてしまった。
それだけのお金が無駄になってしまった、ということよりも、それ以上に。
休日を潰し、あるいは勤務を休んで、何度も歯科医院に連れていったあの苦労が、水の泡となってしまったこと。
目的地に、スロープのない階段があっても対応してもらえる介護タクシー(車椅子タクシー)を手配することが、この上もなく困難で、十何回も電話をかけざるを得なかったあの苦労が、水泡に帰してしまったということ。
あの入れ歯を作ってもらうだけのために、私がどれだけの時間と労力を費やし、心労を重ねたかということ。
私個人としては、そちらの方のダメージが大きい。
そんな私の都合、言い分は、認知症の老人の前ではなんにもならない。認知症の老人を介護するのなら、我というものを出してしまっては、身がもたないだろう。
忘れてしまった。どこかにやってしまった。探しても、見つからない。ならば、仕方がないとあきらめるしかないではないか。
- 関連記事
-
- 病病介護短歌:大金と我[われ]の苦労が泡と消ゆ…… (2021/05/09)
- 病病介護短歌:自らが書くことの意味…… (2021/05/05)
- 側溝の縁に健気に咲く、スミレの花に励まされた件 (2021/04/11)
- 病病介護短歌:我が胃の腑焦がす炎を解き放つ…… (2021/03/29)
- 病病介護短歌:あらためて今さら思う我が生は…… (2021/03/21)
- 病病介護短歌:卒寿越えまだまだ生きるわが母の…… (2021/03/20)
- 病病介護短歌:三十年[みそとせ]も此処にとどまり…… (2021/03/15)
- 花のつぼみを見て、春は近いと実感した件 (2021/03/14)
- 病病介護短歌:わずかしか眠れず朝を迎えても…… (2020/12/05)
- 病病介護短歌:我にしかできない仕事もつことは…… (2020/11/28)
- 病病介護短歌:久々に自らネギを切りし時…… (2020/11/26)
テーマ :
認知症を介護する家族の悩み
ジャンル :
福祉・ボランティア