02.13
私が、自分の記事にアニメ・マンガ等の画像を載せない理由
昨年の9月18日、スタジオジブリが、全作品の場面写真(作品静止画)の無料提供を始め、大きな話題となった。
「ジブリが全作品の場面写真を提供 『千と千尋』など400枚、使用は「常識の範囲で」」
2020.09.19 20:57 くま
https://kai-you.net/article/78230
「「著作権を緩めないと作品消えちゃう」ジブリ画像400枚、無償提供開始」
2020/10/10 13:33
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20201010-OYT1T50176/
その後、無料提供の画像は順次追加され、現在は1178枚となっている。
https://www.ghibli.jp/info/013409/
それらの作品静止画は、公式サイトのダウンロード画面にあるように、
「※画像は常識の範囲でご自由にお使いください。」
https://www.ghibli.jp/works/kaguyahime/
ということである。
「常識の範囲内」とは、具体的にはどういうことであり、どの程度までならばOKなのか? どういう利用法はセーフで、どこからがアウトなのか? そういったことを解説する記事も、ネット上では幾つも見かける。
だが、逆に言うならば、この無料提供されている画像以外の画像を無断で利用することは、著作権法的にはアウトだということである。
現在、個人のブログ等には、アニメやマンガ関連の画像が数多く掲載されている。だが、それらのほとんどは無許諾による掲載であり、ハッキリ言って著作権侵害・著作権法違反、つまりは犯罪行為なのである。
著作権法第119条第1項には、「著作権〔略〕を侵害した者〔略〕は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と定められている。どうしてなかなか、馬鹿にならない重さの、犯罪行為なのである。
著作権侵害は、その大部分が親告罪であるため、大多数のケースは黙認されているのが現状である。
だが、いくら訴えられないからとはいえ、法律違反をおかすことは、私個人は、厳に避けたいと思う。
私が、拙ブログのアニメ・マンガ関係の記事に、作品等の画像を掲載しないのは、それゆえである。
(そして、書籍等の文字による著作物の利用も、引用のルールを守り、権利侵害にならない範囲内で行っている。
さらに言うと、読んだ本の紹介等で、書籍の表紙や本文の写真を掲載することは、著作権法的にアウトなので行っていない。)
ブログ等への作品画像の掲載に関し、「自分は、『正当な引用』として画像の掲載をしているのだから、セーフだ」と主張しているサイトも散見される。
だが、そうしたサイトにおける画像利用は、適法な引用が成立する要件*のうち、引用と本文の「主従関係」や、引用の「必然性」といった点を満たしていないことが多い。
単に、『☆☆』という作品の第○話紹介というような「紹介」や「解説」にすぎないものは、この要件を満たさないという見解が有力なのである。「あの作品の、あのシーンについて論じるためには、どうしてもその場面の画像を使う必要がある」というように、評論や研究、自説の展開のために、その画像を引くことが必要不可欠である場合でなければ、「正当な引用」には当たらないと解されているのである。
記事に、キャッチャーな画像を掲載すれば、閲覧数は上がるだろう。また、画像を載せた方が、記事の内容をよりよく伝えられるのにと感じることも、時にはある。
だがそれでも私は、法は厳格に守る人間でいたい。訴えられるとか、罪に問われるとか、そういったことは関係なく。
それこそが、私が、記事にアニメ・マンガの画像を載せない理由である。
*注
引用の要件は、次のようにまとめられる。
以下、文化庁のサイト
「著作権Q&A 著作権なるほど質問箱」
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/naruhodo/answer.asp?Q_ID=0000581
より
[1]引用する資料等は既に公表されているものであること、[2]「公正な慣行」に合致すること、[3]報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること、[4]引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること、[5]カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること、[6]引用を行う必然性があること、[7]出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)
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