40年近くかけて神経症性障害を乗り越えたものの、母親の介護で大変な日々の思いを発信しています。アニメの研究による博士号取得は、しばらくお休み。

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なかなか的を射た、心理学系の『鬼滅の刃』論がありました

理学者や臨床理士、精神医学者などが書いたアニメ論には、的外れというか牽強付会、我田引水的なものが、少なくない(そうしたものの批判が目的ではないので、特に名前や書名は出さない)。

そんな中、期待しないで読んだらかなりよかったというか、「本当にその通りだ」と思えた文章があったので、紹介したい。

蝦名 玲子「『鬼滅の刃』に学ぶ、危機下のストレス対処法…炭治郎はなぜ逆境で成長できたのか」
https://news.biglobe.ne.jp/economy/1121/aab_201121_6335104594.html
(リンク切れにつき、以下を再掲載)
https://allabout.co.jp/gm/gc/486078/

この文章では、最初に、「炭治郎はなぜの病気を発症させることなく成長できたのか」という問いを立てている。
そしてその答えとして、「危機下においてを守るために重要な、3つのストレス対処法を実践していたから」と、次の3つのストレス対処法を挙げ、それをストーリーに即して具体的に解説しているのだ。

*******************
対処法1:どれだけ考えても分からないことについては考えない

対処法2:目の前のできることを淡々と行う

対処法3:意味の感じられることをする
*******************

この3つの対処法は、言われてみれば、確かにその通りである。森田療法(特に原法)と、そこから派生した森田式精神健康法を、彷彿とさせるところもある。
これらのことは、普通に生活している人のストレスマネジメントやメンタルヘルスケアと、の病になってしまった人の治療の双方において、重要なことである。
そのことを私は、精神療法理論の知識としてだけでなく、自分自身の体験によっても知っている。

この文章においては、作品の具体的内容に即した解説もキチンとしており、こうしたものにありがちな、牽強付会な面が見られない。真に、作品に即した論が展開されている点に、好感が持てる。

なまじ、バトルものの作品に慣れ親しんでしまっていると、オーソドックス(テンプレ的)な展開には、さしたる疑問も持たず、「そうしたもの」として、受け入れてしまいがちだ。
そのジャンルのお約束といったものをよく知らない受け手であれば、「なぜ、○○は~~なのだろう?」と、素朴な疑問を抱くような事柄であっても、メタな視点から「作劇上の都合」として、あえて問わずに流してしまうことも多い。

アニメやマンガに数多く登場する、幾多の困難を乗り越えて成長してゆく主人公に対して、「なぜ、この主人公はを病まず……?」と問うことは、ほとんどのバトルものの愛好者には、無縁なことであろう。
(ミもフタもないことを言ってしまえば、問うてもムダ─答えとして読み解けるようなものはなく、ただ単に「そういう性格だから」と言うしかない─な作品が多いのも、確かであるのだが。)
そうした、普通のファンならば疑問にも思わないだろうことを、あえて問うことによって、なかなか興味深い論が展開されているわけだ。

自分の行動に意味を感じられるか否か。あるいは、自分の現在の行動が己の一番の大きな目的につながっていると思えるか否か。こういったことが、メンタルヘルスによい影響を及ぼすということを、私はついこの間、再認識した。

「我にしかできない仕事もつことは……」
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-457.html

私個人にとっては、校閲の仕事が自分の生涯の夢ともつながっているという感覚。『鬼滅の刃』の主人公にとっては、鬼を倒すということが「妹を元に戻す」という、一番の目的につながっているという確信(上の文章の中では言及されていないが、その後の展開において、そうした話が出てくる)。それがあるからこそ、どんなに辛くてもがんばれるのだ……。
そう考えたら、特に珍しくはない、バトルもののひとつとして楽しんでいただけのこの作品が、少し身近なものに思えてきた。

それゆえに、この文章のことを紹介してみたいと思ったのである。

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テーマ : メンタルヘルス
ジャンル : 心と身体

Tag : アニメ  精神療法    校閲 

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プロフィール

ハナさん*

Author:ハナさん*
2019.5.26付けで、Yahoo!ブログから移行してきました。
上記日付より前の記事は、Yahoo!ブログで書かれたものです。

移行から2年経過したのを機に、ブログタイトルを変更いたしました。
あわせて、紹介文も更新。

*代用ゲストブックあり
「カテゴリ」からどうぞ

〔ブログ紹介文〕
誰もが、たやすく発信者となれるネット時代。

文章で社会改革ができると思い込んでいたのは、若さゆえの過ちにすぎない。
けれど。
それでもまだ私は、文章を公表することは、無意味ではないと信じたい。

私がここに記すのは、単なるつぶやきの類いではない。
社会に向かって訴えたいこと、公表する意味があると思えることのみだ。
若い頃のように気負い込んで、大声で叫ぶことはできないけれど。

病気ではなく、障害でもなくても。諸々と生きづらい、おひとりさま介護の日々においても、光を求めて!

〔自己紹介〕
高校1年で発症した神経症性障害(身体表現性障害[身体症状症]その他)を、40年近くかけて乗り越える。
校正者として、非正規雇用勤続30年。数年前から校閲の仕事も行う。

1990年代、森田療法の研究で学士号取得後、カール・ロジャーズの直弟子が講師であるカウンセラー養成講座で単位取得。
地元の民間心理相談機関でセラピストのインターンとなり、各種心理療法を学修するが、自分は援助職には向いていないことを痛感。

アニメーションの研究で修士号取得。
博士課程・単位取得満期退学。
現在、博士論文のテーマを再検討中。専門は、巨大ロボットものの予定。

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