06.14
支援しているNPO法人に取材した、ミステリー小説が刊行された件
2年半前から、
「助けを求められない若者」に支援の手を差し伸べる団体があった!
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-63.html
等に記したNPO法人に、継続的な支援(寄付)を続けている。
助けを求められない若者を支援する団体」への継続寄付手続き完了!
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-64.html
そのNPO法人・OVA〔オーヴァ〕に取材した、SFミステリー小説が、5月末に刊行されたという。
逸木裕『銀色の国』東京創元社、2020年
税込1870円(電子版・税込1800円)
ISBN:4488028098
OVAからのメルマガに記されていた概要は、以下のとおり。
*****************
物語の主人公(の一人)は自殺対策NPO法人の代表で心理士の田宮晃佑(35歳)。
NPO法人Rate(レーテ)は設立6年で、
新宿区に事務所を構え、チャット相談事業を行う団体です。
自傷行為を行っていた浪人生のくるみは
VR上の自助グループ〈銀色の国〉にいざなわれます。
ある事を発端に、田宮は〈銀色の国〉とその恐ろしい計画を知ることになります。
〈銀色の国〉をめぐり、人々が自殺に追い込まれないように、
田宮とRateのスタッフが奔走し、謎を解いていきながら〈銀色の国〉に迫っていきます。
自殺対策に取り組む人の苦悩や、傷つきながらも自分と向き合っていく人々が描かれます。
*****************
出版社の特設サイト
https://special.tsogen.co.jp/ginironokuni
等に掲げられたキャッチフレーズは、
…………………………………………………………
彼女に差し伸べられた手は、
救いか
破滅か。
現代の闇「自殺」に迫る
鮮烈なミステリ!!
…………………………………………………………
この小説は、何と、冒頭の101ページが無料公開されている(上記の特設サイトより閲覧可能)。
また、「Webミステリーズ!」の
逸木裕『銀色の国』刊行記念!「殺人事件を書かないミステリ作家が書きたいもの」
http://www.webmysteries.jp/archives/23107675.html
では、作者の、以下のような話が掲載されている。
*************
作家になって以降一貫して、自我のゆらぎと、その延長線上にある自死というものを書いてきた意識があります。
これは私自身が、かなり自罰的で、生きづらさを抱えた人間であることと無関係ではないでしょう。(略)苦しい局面がきたとき、ある種ポジティブに、誰かを排除してまで現状を打開しようとするのか、それともネガティブに自ら破滅に向かおうとするのか。私が後者の人間だからこそ、私のミステリは「なぜ殺すのか」ではなく「なぜ自殺を選んでしまったのか」という謎をめぐるものが多いのだと、自分では考えています。
******************
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この題材はぜひ書いてみたい――いや、私が書くべき題材だという思いがどんどん強くなっていきました。
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それまで作品のエッセンスとして描いていた自殺というものを、一度物語の中心的なテーマに据えて書きたいと思っていたのです。
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『銀色の国』は自殺という、現実にある重たいテーマを取り扱った作品です。ただ、それと同時に、読みはじめたらやめられない、問答無用で面白いノンストップ・エンターテインメントを目指して書いた作品でもあります。(略)
優しさと悪意に溢れる蜃気楼の中を、皆様もぜひ彷徨ってください。
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そして、この「Webミステリーズ!」の筆者は、以下のように記す。
******************
逸木さんは『銀色の国』の執筆あたり[原文ママ]、自殺防止の最前線で働く方々に取材を重ね、現場の危機感と使命感に触れました。「死にたい」という言葉は、「生きたい」という言葉と同じ意味である……とは自殺対策の現場でよく言われるテーゼだそうです。自死へ向かう人は死の直前まで死ぬか生きるか迷っているものだ、と。
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この「取材」先(のひとつ?)が、OVAであるわけだ。
OVAの代表者氏は、メルマガの中で、作者の熱心な取材ぶりを記しつつも、同時にこうも記している。
******************
NPO法人Rateや田宮はOVAに一致しすぎなところがあります。(略)
念のためお伝えしますが、最終ページに私の名前も載っており、小説内の田宮は私と同い年ではあります。ただ、田宮のキャラクターは私をモデルにしているわけではありません。(だいぶキャラや過去も違うので・・)
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こういうところは、断じて間違えるべきではないと思う。
事実に取材した小説=フィクションということを理解できず、何でも元ネタの人物や団体・事件と混同してしまう輩も、存在するので。
私自身は、まだこの本を入手して読むには至っていない。地元の図書館にあるので、とりあえずそこで借りて読むつもりだ(で、読んでみてよかったら、文庫化されたら購入するかもしれない)。
それでもとりあえず、こうした本があるということをお知らせしたいと思い、記事にしてみた次第である。
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