40年近くかけて神経症性障害を乗り越えたものの、母親の介護で大変な日々の思いを発信しています。アニメの研究による博士号取得は、しばらくお休み。

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「助けてと言えない男性たち」に、反響がなさすぎるので

先日、とても重要な問題提起だからと思い、当ブログに、NPO法人OVA〔オーヴァ〕の代表者コラム「助けてと言えない男性たち」を、抄録の形で掲載した(全文掲載の許可が取れなかったため)。

「助けて」と言えないのは、若者ばかりじゃなかった!
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-340.html

だが、どうにも反応が悪い。拍手数は1、コメントなし。閲覧数も、あまりのびなかった。

そこで、カテゴリを変えて再掲する。

当ブログの常連読者の方には男性が多いので、その方々の意見も、お聞きかせいただければと思う。

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
OVA代表コラム
 「助けてと言えない男性たち」
                     伊藤次郎

〔前略〕
OVAの相談事業では、相談者の性別は女性が明確に多いです。
例えば2018年度足立区でのインターネット・ゲートキーパー事業での相談者の性別の割合は、女性64.8%、男性35.2%、その他0%となっています。

厚生労働省が行った自殺防止SNS相談事業では、女性92.1%、男性7.9%と、相談者のほとんどが女性となっています。

参考:(PDF注意)令和元年版自殺対策白書
https://ova-japan.us12.list-manage.com/track/click?u=9b4f75c092873cc7ee845983e&id=7a507c47f4&e=82b1c577b4

一方で、2018年の統計を見れば自殺の約7割近くが男性です。
この男女差の傾向は世界的に見られます。

なぜ、男性の自殺は女性より多いのでしょうか?

(もちろん自殺はマルチファクターなので科学的な意味での正確な答えはありません)
その上での発言ですが、私は大きく二つの要因があると考えています。

一つは男性の方が致死性の高い方法をとるという話です。
これは、「未遂者数」が男性より女性の方が多い事実からも示唆できると思います。
ここでは簡単な説明にとどめますが、これは「身に付いた自殺の潜在能力」(Joiner,2005)の性差と言えます。
ようするに、自分を傷つける力が女性より男性の方が強いという話です。

もう一つは先ほど出した相談事業の結果が示しているように、男性は困ったときに相談するのが苦手という点です。
「助けて」と言えないのです。

結果、周囲に相談しないことから一人で抱え、問題が深刻化し、追い込まれていきます。

女性のコミュニケーションを見ていると「〇〇なことがあって、つらかったんだよね」のように話した時に、「つらかったねぇ」といった返しをしていることをよく見聞きします。
カウンセラーでいう「反射」という技術を普通に日頃使っている女性も多いです。

つらい感情の吐露に対して受容的な言葉を返し、情緒的なコミュニケーションが行われます。

しかし、男性コミュニティでは、こういった会話がなされることが少ないように思えます。

「〇〇なことがあってねぇ・・」でとどまり、「つらかった」といった感情は言えないことも多いような気がします。

それを聞いている男性も「つらかったね」といった受容的なコミュニケーションをする場合は、とても少ない気がします。

男性には、理的な苦痛を発露することをよしとしない文化があるように思います。
「男は泣いてはいけない」「男のくせに~」「男は弱音を吐いてはならぬ」、昔から「武士は食わねど高楊枝」であり「切腹」するのも男性です。

自分の感情を発露したり、他者に助けを求めるのが苦手なのは、生物学的な性差ではなく文化的性差(ジェンダー)です。

〔中略〕

最近NHKなどでも、男性の性被害がとり上げられていました。
特に、男性が女性に強姦されるのは強いタブーがあるように感じています。
この社会では「ない」ことになっているような気さえしますが、実際にはあります。

〔中略〕

こういった現象がなぜ起こるのでしょうか。

以下の動画は家庭内暴力(DV)の問題に取り組んでいるイギリスの団体が作成したものです。

公衆の面前で、男性が女性に暴力していた場合と、女性が男性に暴力していた場合とで、それを見ている人たちの反応が違うことを映しています。

参考:#ViolenceIsViolence: Domestic abuse advert Mankind
https://ova-japan.us12.list-manage.com/track/click?u=9b4f75c092873cc7ee845983e&id=c25dfc8910&e=82b1c577b4

OVAでは「声なき声」といった言葉をつかって「助けが必要であるにもかかわらず、助けを求められない人達」を表現することがあります。

「声なき声」と伝えて、多くの人が想起されるのは、中年の男性が悩んでうずくまっている姿ではないような気がします。
〔中略〕

「死にたい 助けて」と打っている中年の男性が映し出されれば、上記のDVに関しての社会実験動画のように、滑稽な姿のようにとらえる人もいるようにも思います。

どうすればこのような社会的な雰囲気を乗り越えて、「助けて」と言ってもらえるのでしょうか。
これは途方もない問題のようにも感じます。

〔中略〕

男性は女性よりも専門性の高い人(医師や弁護士など権威がある人)に相談しやすい傾向があるようですので、相談員にあえて社会的地位の高さや権威づけをして告知をするという方法もとれるかもしません。

しかしこのようなアイデアは対症療法的であって、問題の本質的な解決でもありません。もっとも何事においても本当の意味での「本質的な解決」などないようにも思えますが、現実的にはセグメントした上で、それぞれ対処していくのがよいかと思います。

人々の意識を変えていくことが重要にも思いますが、じゃあ何をどのように変えていけばいいのかということになります。

〔中略〕

映画の登場人物で危機的な状況の中で “女・子どもを優先” せず、いの一番に逃げる男性など出てきません。(出てきても滑稽に描かれるだけです)
男は強くあるべきで、弱いものを守る存在、という風に社会から期待されていると思うようになっていきます。
男を強い存在として位置付けているわけですね。

こうして男性自身、「男性は自分でなんとかするよ/すべき」といった考えが内在化されていきます。
だから、男性が困っていても手を差し伸べないし(それはむしろ自尊を傷つけることになるから失礼だという気持ちすら生まれる事もある。悩んでいる人に声をかけようとしている人に「放っておいてやれ」ということがなんか格好いい感じにすらも思えます。)ですから、自分が困っていても助けを求めない。

でもやっぱり辛いから、アルコール(薬物)を飲んで苦痛な気持ちを変容させる、ストレス対処するしかない(それはほぼ自傷行為です)なんて人が多い気がします。

「助けて」と言える社会、それを受け止められる社会をつくっていくということは、特定の性別や年代の関係なく、困ったときに周囲に助けを求め、支え合う社会をつくっていくことです。

どうやら「助けを求める」という言葉には「弱みを見せる」「弱音を吐く」というしっかりとしたスティグマ(負のレッテル)がありそうです。

むしろ、助けを求める行為は他者に協力を要請して、自身の問題を解決していくビジネススキルであると、リフレーミング(見方を変える)していったり、それでもピンとこない人にはあえて「強い」という言葉をつかって、「本当の強さとは、人に弱みを見せられることが強さなのだよ」といったことを、権威ある人が伝えることで影響を与えられるかもしれません。

子どもたちがスクールカウンセラーに相談するのにスティグマがあるのなら、子どもにとって「一番偉い人/強い人」である校長先生が、スクールカウンセラーに相談しにいく後姿を見せた方が、効果がありそうです。

〔中略〕

ありとあらゆる人が、安して助けてと言える社会を実現していく事はネット相談を普及したり、テクノロジーを使ったアウトリーチを拡大していくだけでは到達できなさそうです。

あらゆる人々の、助けてを阻害するものを一つ一つ同定して、それをどうにかしていく方法を考え続けていくほかありません。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

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テーマ : 文明・文化&思想
ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag : ネット    NPO 

C

omment

本文中の収まりが悪かったので、コメント欄で補足
上のコラムの中の、
「映画の登場人物で危機的な状況の中で “女・子どもを優先” せず、いの一番に逃げる男性など出てきません。(出てきても滑稽に描かれるだけです) 」
という部分を読んで、真っ先に思い浮かんだのは。

そうだよなぁ。そういう男は、
「それでも男ですか、軟弱者!」
などと、ひっぱたかれてしまうものなぁ、ということ。

またしても、アニメファンでなければ、わからないネタなのでした。

ハナさん* URL | 2020/02/15 19:23 [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます

| 2020/02/20 21:17 [ 編集 ]


こんにちは。はじめましてです。
そうですね、記事の通りだし分析も提案も的確でいい記事ですね。
わたしは男尊女卑と長時間労働をなくせばこの国のすべての問題は解決するのではないかと思っていて、この問題とも関連すると思いますが、どうしたらなくせるかはまだわかりません。

とうふ、20 URL | 2020/02/22 07:05 [ 編集 ]

Re: 2/20非公開コメントさん
非公開だと、コメントいただいたことに気づきにくいせいもあり、返信が遅れました。

この記事への、反響第1号です!
私としては、とても重要な問題だと思ったから紹介したのに、反応がなくて、少々困惑し、かなりふてくされていました。

そうした意味では、コメントをいただけてとてもうれしいし、安心しました。
そして、こうした問題に当事者として苦しまれている方、案外多いのかもと、あらためて感じました。

なぜなら。
女は、あまり「女らしく」なくても、世間の風当たり、それほど強くないように感じます。少なくとも、「男らしく」ない男に対するよりは、世間の許容性も高いと。

私の趣味・興味等は、かなり男(の子)っぽいですが、そのことに驚かれはしても、女らしくないと批判されたことはないですし。

男性にとって、強くない・弱いということが、どれ程の批判材料になってしまうことか。
そういえば、こうしたことを非公開コメントでないと語れないというのも、そうした背景があってのことなのかもと感じます。

そうした意味では、ジェンダーバランスに配慮したつもりで、アンドロメダ瞬を女性にしてしまった某アニメ版は、誤っていたと思います。

> 人として良くあろうとしている

この評され方、初めてですけど、とてもうれしいです。なんかちょっと、富野作品的ですね。

富野作品のセリフを引用したところ。こうした会話が成立するというのは、とても心地よいです。
そして実際、セリフの引用で、よりいっそう伝わるニュアンスというものがあるのですよね。作品への共通認識が基本にあるから。
何の作品の、誰のどこでのセリフか、すぐにわかる私も、なかなかのものだとは思いますが。

ハナさん* URL | 2020/02/22 20:04 [ 編集 ]

Re: とうふ、20さん
はじめまして。コメント、ありがとうございます。

問題の解決法を探すのは、なかなか難しいことだと思います。世の中の物事は複雑ですし、人の心を変えるのは、非常に困難なことですから。

何よりもまず、そうした問題が存在するということを、意識すること。そして、その問題について考えて、解決法を探る人が増えること。
それが、重要なのではないでしょうか。

ハナさん* URL | 2020/02/22 22:58 [ 編集 ]

勘違いしていたのでもう一言
すみません女性の方だったんですね。巨大ロボット、というところで多分男性だろうと思っていました。多分気を悪くされたりはしないと思うのですがすみません。
女性がこの問題に注目してくださったということは、とても意味があると思います。
反応があまりなかったのはひょっとしたら男性、特にこう言ったブログをやっていたり読んでいたりする人なら既にわかっていることだったからかもしれません。
それが女性には届いていないとすればそれこそ声を上げられないからなのかもしれません。

とうふ、20 URL | 2020/02/27 08:27 [ 編集 ]

Re: 勘違いしていたのでもう一言
あらあら、そうだったのですか。
「巨大ロボット=男性」というのは、まさによくある固定観念ですから、全然気にしていません。
私の場合、文章も割と中性的なので、間違えられることは、なきにしもあらずです。

> 女性がこの問題に注目してくださったということは、とても意味があると思います。

男性が「助けて」と言いにくい世の中、というものには、男性自身の意識だけでなく、女性の側の意識も関係していると思います。
私はそうではありませんが、男性に「強さ」を求めてしまう女性というものも、根強く存在するでしょうから。

反応云々に関しては、ただ単に、当ブログにコメントしてくれる方の数が、絶対的に少ないからだと思います。
Yahoo!ブログから引っ越してきて以来、いただけるコメント数が、激減しましたから。閲覧数自体も。
「こんな泡沫ブログで、何かを世に問おうとすること自体、間違いなんだよね」と、感じ始めています。

ハナさん* URL | 2020/02/29 15:25 [ 編集 ]


T

rackback

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プロフィール

ハナさん*

Author:ハナさん*
2019.5.26付けで、Yahoo!ブログから移行してきました。
上記日付より前の記事は、Yahoo!ブログで書かれたものです。

移行から2年経過したのを機に、ブログタイトルを変更いたしました。
あわせて、紹介文も更新。

*代用ゲストブックあり
「カテゴリ」からどうぞ

〔ブログ紹介文〕
誰もが、たやすく発信者となれるネット時代。

文章で社会改革ができると思い込んでいたのは、若さゆえの過ちにすぎない。
けれど。
それでもまだ私は、文章を公表することは、無意味ではないと信じたい。

私がここに記すのは、単なるつぶやきの類いではない。
社会に向かって訴えたいこと、公表する意味があると思えることのみだ。
若い頃のように気負い込んで、大声で叫ぶことはできないけれど。

病気ではなく、障害でもなくても。諸々と生きづらい、おひとりさま介護の日々においても、光を求めて!

〔自己紹介〕
高校1年で発症した神経症性障害(身体表現性障害[身体症状症]その他)を、40年近くかけて乗り越える。
校正者として、非正規雇用勤続30年。数年前から校閲の仕事も行う。

1990年代、森田療法の研究で学士号取得後、カール・ロジャーズの直弟子が講師であるカウンセラー養成講座で単位取得。
地元の民間心理相談機関でセラピストのインターンとなり、各種心理療法を学修するが、自分は援助職には向いていないことを痛感。

アニメーションの研究で修士号取得。
博士課程・単位取得満期退学。
現在、博士論文のテーマを再検討中。専門は、巨大ロボットものの予定。

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