40年近くかけて神経症性障害を乗り越えたものの、母親の介護で大変な日々の思いを発信しています。アニメの研究による博士号取得は、しばらくお休み。

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あるアニメ界の大御所が書かれた論考を、校閲したのだが……

先日、あるアカデミックな親睦団体(学会の類いではない)が定期的に発行している会誌の校閲で、至福の時を過ごした。

その会誌の入稿予定に「**日:※先生(論考)」とあるのを見た時に、「※先生って、まさか、※○△さんのことではないよな……」と、予感のようなものは、感じていたのである。
これまでも、「堀田先生」が堀田あけみだったり、「眉村先生」が眉村卓だったことがあったので、あり得ないことではないと思ったのである。
少なくとも※○△氏は、この会誌に寄稿するための条件を、満たしてはいるのであるから。

とはいえ、この会誌の性質上、執筆者は、人文科学・社会科学・自然科学の各分野から、均等に選出される。文学・芸術関係の著名人に限っても、※という姓で、寄稿者の条件を満たす方は、他にもいるだろう。だから、「まさか、※○△だなんてことは、ないよね」と、思っていたのだが。

実際に、組版されたゲラを受け取って、論考のタイトルを見た途端、私は舞い上がった!
そこには、「……からテレビアニメ………」とあったのであるから。
「まさか、※○△じゃないよな……」と思っていたら、本当に、アニメ界の超大御所、最長老の一人である、※○△の文章だったのである!

論考と称されてはいても、実質は、筆者ご自身の思い出話のようなものだった。
子どもの頃からの様々なメディアの物語との関わりや、まだ生放送だった頃のテレビドラマ制作に関わった話や、草創期のアニメ界での苦労話、等々。大学でアニメ史の講義をしている現在までの色々なエピソードが、一定のテーマに沿って、コンパクトにまとめられていた。
小説も何十冊(いや、もっとか?)と書かれている文筆家とも呼べる先生であるから、文章もこなれていて、そうした点で直すところは、ほとんどなかった(単なる入力ミス的なものは、散見されたが)。

ただ、いちいち資料を見て確認せずに、記憶だけで書かれているのか、作品のタイトルや人名に、表記の誤りが見られた。
そうした誤りの指摘を、作品のタイトル画面(オープニングで作品のタイトルがでる画面)で確認したりしながら、ゲラに書き込んでいる私は、終始ニヤニヤしながら、ブツブツと独り言を口にしていた。
「いや、◇◇は、◆◆じゃないでしょ。うん、やっぱりそうだ。まったく、※先生ってば、資料を見ないで、記憶だけで書いてるのかしら……」
「いやいやいやー! ◎◎さん(ライバルキャラ)の下の名前は、☆でしょう。なんで、□になってるのよ」
等々。

こんな私は、ハタから見ると、か~なりアブナイ人であったことだろう。
いや、本当にまったく、この上もなく楽しくて、やりがいのある仕事だった。この会社でこの仕事をしていて、本当によかったと思った。
(とはいえ、この会誌の仕事が継続して入るようになったのは、最初にこの団体の仕事をお試しで受注した際に、全身全霊をかけた仕事をして、編集委員の方に認めてもらえたから、であるわけだが。)

この会誌に載った論考は、学術論文として、データベースに収録されるものである。だが、学会誌等と異なり、いわゆる査読はない。この会誌の編集委員の方に、こうした記述内容の誤りを、もれなくピックアップしている時間と能力はない(だからこそ、わざわざお金を払って、校閲の発注がなされているわけだ)。

私が、ここで誤りを指摘しなければ、そのまま本になってしまう可能性が高い。なので、やや厳しめの指摘出しをさせてもらった。
その指摘に、筆者がどこまで対応するかは、また別の話であるが(こちらが出した指摘に、真摯に対応してくれる先生もいれば、全スルーの先生もいる。全ては、筆者先生次第なのである)。


ところで、校閲作業に関わることとは別に、この先生の論考の中に、ハッとさせられる文章があった。
それは、そのままは引けないので意訳をすると、「マンガやアニメが、本当に世に認められる、真に公認されるまでには、まだまだ、あと50年とか100年かかるだろう」ということである。
氏は、1970年代に巨大ロボットアニメの制作に関わっていた頃、放送局の偉いさんになっているドラマ制作時代の同僚に、「あんた、今、ドッカーンとかガッシャーンっていうのをやってるんだって? ワハハ」(氏の文章で読んだ記憶があるのだが、引用元の本を探し出せないので、正確な引用ではない)などと、嘲笑されたという。

その頃に比べれば、「ガンダム」シリーズの産みの親である監督が、お国から賞を贈られる
「富野監督が、文化庁長官表彰を受賞 ? !」
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-287.html
など、アニメの社会的地位は、かなり向上してきた感はある。

だが、政府がアニメやマンガを持ち上げるのは、もっぱら、経済的な視点・コンテンツ産業としての価値、要するに、輸出できる文化が少ないこの国において、輸出文化としてかなり有望視できる、儲かるコンテンツであるから……というにすぎない。
クールジャパンなどといって、持ち上げてはいるけれど、偉いさんたちは、内心では「あんな、ジャリ向けのもの……」とバカにしているというのが、実態であるのだろう。

その辺りのことを、長年、内部からマンガ・アニメに関わってこられた(※氏は、マンガ原作も手がけている)氏は、痛感されているようだ。マンガ・アニメの社会的地位は、昔に比べればかなり向上した。ある面では、本当に、隔世の感がある。
それでも、真の認知、公認にはほど遠い。まだまだ、であるのだろう。
※氏は論考の中で、いずれ来るマンガ・アニメが真に認知される日のために、アニメ文化の土壌を肥沃にしておくことに、少しでも貢献したいと述べておられた。

最長老の※氏にしてからが、そのような謙虚な心持ちで、アニメ文化の育成に貢献しようとしている。というか、氏ほどの大御所であっても、いち個人が実際にできることは、その程度にすぎないのであろう。

私個人は、病病介護の日々が大変すぎて、博士論文の執筆も止まったままで、今現在は、アニメ文化育成のために何事もなし得ていないということに、焦りを感じていた。だが、焦っても仕方がないと、思うようになった。
人はただ、自身が置かれた状況の中で、自分のなせることをなしてゆくしかない。己にできる最善を尽くしてゆくしかない。

そんなことを、※先生に、あらためて教えられた気がしている。

(職務に関わることは、こんな泡沫ブログであっても、なるべくなら、書かないに越したことはないのだが。やはり、どうしても書いておきたいと思ったので、このような形で書かせてもらった。)

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テーマ : 懐かしいアニメ作品
ジャンル : アニメ・コミック

Tag : アニメ  巨大ロボット  校閲  ネット  介護 

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omment

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| 2020/01/28 07:10 [ 編集 ]

Re: 徒然なる恥の書き捨て / 1/28非公開コメントさん
私も、そんな風に思っていた時は、あったんですよね。
特に、街で日記をコンスタントに書いていた頃は、あわよくばこれを積み重ねて博士論文に……。そして、論文を書籍化する際には(博士論文は、学位取得後一定期間内に書籍として刊行するのが義務。春日さんは、義務を果たしてないようだけど)、マイペで交流していた方々への謝辞を……とか。
某所でヲチられ出したので、断念しましたけどね。

こちらのブログは、なかなか考えさせられたり、参考になるコメントをくださる方もいるので、無駄ではないどころか、かなり有益だとは思っています。
若い方の意見など、こういう場でしか聞けないですし。

アニメ業界とか、その周辺の関連領域とか、もう、巨大になりすぎて、到底カバーしきれません。自分の守備範囲を決めて、それ以外はあきらめないと、パンクしてしまいます。

「あんた、今、ドッカーンとかガッシャーンっていうのをやってるんだって? ワハハ」のくだりは。
実業之日本社から1996年に出されて、今はなぜかネット上で全文が読める『TVアニメ青春記』の、214ページでは「あんた、いまアニメやってるんだって。あっはあはあ」になっていました。
おそらく、同じエピソードについての記述でしょう。

私が読んだのは、1979年頃の雑誌連載記事(後に文庫化された)のものですが、それに比べれば、ソフトな表現ですね。私が引いた方では、明らかに、巨大ロボットもののことを指して、笑っていますから。
同じアニメにも、確実に格差というものが存在しており、巨大ロボットものは、最底辺に位置していました。富野氏なんかも、その辺の鬱屈が強くありましたよね。
大御所氏はあくまでも、『コンV』などの長浜作品の脚本を書いていることを笑われたのであって、『サザエさん』や『一休さん』を書いていることを笑われたわけではないでしょう。ゆえにこちらの方が、記述としては正確なはずです。

これでもう、この大御所が誰か、バレバレですね。

ハナさん* URL | 2020/02/02 05:22 [ 編集 ]


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rackback

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ハナさん*

Author:ハナさん*
2019.5.26付けで、Yahoo!ブログから移行してきました。
上記日付より前の記事は、Yahoo!ブログで書かれたものです。

移行から2年経過したのを機に、ブログタイトルを変更いたしました。
あわせて、紹介文も更新。

*代用ゲストブックあり
「カテゴリ」からどうぞ

〔ブログ紹介文〕
誰もが、たやすく発信者となれるネット時代。

文章で社会改革ができると思い込んでいたのは、若さゆえの過ちにすぎない。
けれど。
それでもまだ私は、文章を公表することは、無意味ではないと信じたい。

私がここに記すのは、単なるつぶやきの類いではない。
社会に向かって訴えたいこと、公表する意味があると思えることのみだ。
若い頃のように気負い込んで、大声で叫ぶことはできないけれど。

病気ではなく、障害でもなくても。諸々と生きづらい、おひとりさま介護の日々においても、光を求めて!

〔自己紹介〕
高校1年で発症した神経症性障害(身体表現性障害[身体症状症]その他)を、40年近くかけて乗り越える。
校正者として、非正規雇用勤続30年。数年前から校閲の仕事も行う。

1990年代、森田療法の研究で学士号取得後、カール・ロジャーズの直弟子が講師であるカウンセラー養成講座で単位取得。
地元の民間心理相談機関でセラピストのインターンとなり、各種心理療法を学修するが、自分は援助職には向いていないことを痛感。

アニメーションの研究で修士号取得。
博士課程・単位取得満期退学。
現在、博士論文のテーマを再検討中。専門は、巨大ロボットものの予定。

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