40年近くかけて神経症性障害を乗り越えたものの、母親の介護で大変な日々の思いを発信しています。アニメの研究による博士号取得は、しばらくお休み。

Prev  «  [ 2023/12 ]   1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  » Next
最新の記事(全記事表示付き) *frame*
フリーエリア2
最近のコメント(コンパクト)
データ取得中...
カテゴリ
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク
月別アーカイブ

博士課程の同級生が、色々な意味で有名人になっていた件

何年か前から、ポイント稼ぎのために毎日、あるポイントサイトを経由して、ネットニュースを閲覧している。
そんななか、以下の記事で、何やら懐かしい名前を見かけた。

「三田村邦彦に『必殺』降板を翻意させた藤田まことさんの言葉」
https://news.infoseek.co.jp/article/postseven_1515661/

ここで名前があがっている、「映画史・時代劇研究家の春日太一氏」というのは、大学院の博士後期課程で同級生(指導教授が同じ)だった、あの彼のことだろう。
(本人のブログ等に写真が掲載されているのを見たら、確かに、あの彼であった。)

そういえば、修了後に1、2冊本を出したあたりまではチェックしていた。最初の本『時代劇は死なず! ─京都太秦の「職人」たち』(集英社新書、2008年)は、義理もあって、新刊を購入したのだった。
だがそれ以降は、私自身の生活の多忙さ・大変さに紛れて、いつの間にか、彼の動向を気にすることはなくなっていた。

在学中も、講義以外で話をすることは少なく──というか。そもそも私は、最低限の講義を受けるためだけに、会社を休んで、長野から東京の大学院まで通っていたので、講義外で学友と交流する暇はなかったのだ──修了・単位取得退学後に、個人的に連絡をとることもなかった。

アニメも「準専門」(在学当時の本人の弁)であるとはいえ、彼が専門とするのはあくまでも時代劇であり、研究する対象や分野が、私とは異なっていた。
さらに、彼の研究スタイルは、「撮影現場に密着して、時代劇の撮影スタッフに聞き取り取材を行い、その成果を一般向けの本にまとめる」という、記録的なものであるようだった。何というか、外向的で行動派、アウトドア派の研究である。
それに対し、私が目指す研究スタイルは、「文献や資料に当たって、調査・研究・考察を行い、その成果をアカデミックな論文にまとめる」という、分析的なものである。内向的で、理論派といえば聞こえはいいが、要は書斎派・インドア派の、行動が伴わない研究である。

そんな風に、目指す研究の方向性やスタイルが真逆だったせいもあり、もう10年以上、彼のことは忘れたも同然だったのである。
今回、久しぶりに名前を見たことから、近年の活動状況を軽く調べてみた。

すると、著書は単著・共著あわせて20冊を越え、『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』(文藝春秋、2013年)で2014年に、第26回尾崎秀樹記念・大衆文学研究賞を受けていた。
有名雑誌での連載もしており、テレビやラジオへの出演、あるいはトークイベントの出演経験もあるという。

日本では数少ない、映画史・時代劇研究家(一部で言われているように「たった一人」なのかは措くとしても)を名乗るだけあって、マスメディアの世界では、引く手あまたという感じだ。本当に、精力的に活動されているんだなぁ、と思った。

と同時に、学術論文を執筆したというデータはない。博士論文を公刊したというデータも、見つけることはできなかった。あくまでも、アカデミックな世界ではなく、マスコミ寄りの世界で生きてゆくつもりなのだろう。

そうやってマスメディアでの露出度が高ければ、様々な批判や攻撃を受けてしまうのも、仕方のないことだ。
彼の名前でネット検索すれば、某巨大匿名掲示板の専用スレッドが、割と上位にヒットしてくる。
そうした場所で、名指して延々と、口さがないことを言われ続ける。よくも悪くも、有名人になったということだ。

それはそれで、大変だなぁと思う。私だったら、到底耐えられない。こんな弱小ブログへの、1つや2つのコメントですら、心が折れてしまうのだから。
そうした意味では、何があろうとコンスタントに執筆活動を続けてこられたというだけで、この上もなく、スゴイことであると思う。

在学当時から、特に、対抗意識を燃やすという感じではなかった。上述したように、研究対象・分野が異なったし、何より、研究スタイルが真逆であったから。
だから、今現在、両者の立っている場所が違いすぎるからといって、とりたてて思うところはない。
そもそも、彼はまがりなりにも博士論文を書き上げて博士後期課程を修了し、博士号を取得している。それだけでも、論文を書けぬままに単位取得退学となった私とは、明らかな懸隔がある。この違いは大きく、絶対的なものである。いわゆる「越えられない壁」という奴だ。
(実のところ、博士号などというものは、それを出した大学の格によって、大きな格差がある。この国の名を冠しながらも、いわゆる大学のランクとしては……である大学の博士号など、持っていても恥ずかしいだけ、という視点も存在するのは確かだが。)

この私は、とりあえず今は、病病介護の日々を乗り切るしかない。研究を進める上でも大きな妨げとなる精神疾患を、乗り越えることが先決である。少しでも早く、自分の研究を再開するための地固めを、コツコツと続けてゆくことしか、今の私にできることはない。

不思議なことに、焦りはあまりない。「あの人は、20冊も本を出しているのに、自分はゼロ……」といった思いもない。
一般向けの本を何十冊も書くより、アカデミックな研究書を数冊書く方が、私にとっては重要だからだ。一生のうちに、本当に満足できる研究成果をまとめた専門書を数冊上梓できれば、それで構わない(あえて、「価値がある」とは書かない。価値観のあり方は、人それぞれであるのだから)。

それでも何というか、よい刺激を受けたという感はある。勝手に同胞意識を持たれては、先方には迷惑かもしれないが、「同級生だった彼が、こんなにがんばっているのだから、私も自分なりにがんばろう……」と思えた。
立っている土俵が異なるので「負けないように、がんばろう……」とは、なり得ない。そもそも最初から、勝負にならないことは、わかり切っているのだから。

このように、昨秋ふと、修士課程の指導教授のことを思い出した
「修士課程の恩師は今でもお元気で、新作能を作っていた件」
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-268.html
のに続き、大学院時代のことを思い出したことが、良好なエネルギー補給となった。

他者と自分をひき比べて、劣等感や自己嫌悪に陥ってしまうのではなく、前向きな努力の栄養源にできた。そういう自分は、案外と頼もしいかもしれないと、そんな風にも感じているところだ。

関連記事

テーマ : 自分らしく
ジャンル : 心と身体

Tag : アニメ  ネット  介護  精神疾患 

C

omment


出崎監督の著作復刻の情報も校閲の話が良かったのですが、自分にはその記事にコメントするだけの知識が無いような気がして、以前から書きたかったこちらの記事に書き込ませていただきます。

ハナさん、春日太一さんと博士課程の同級生であったのですか!

私は春日太一さんの著作はあんまり拝見していないのですが、NHKラジオすっぴんでの「金曜映画劇場」が好きでよく聞いております。
映画紹介としてすごくおもしろいし、時々「宇宙からのメッセージ」や「伝説巨人イデオン接触編・発動編」を取り上げるので最高です。

春日さんとハナさんとの論考の違いも両者のファンとして興味深かったです。
また、ハナさんが校閲などでご自身の活動をされている姿に改めてすごい方だと思いましたし、私も元気を頂いたような気分になりました。

トギエモン URL | 2020/01/21 16:28 [ 編集 ]

Re: トギエモンさん
わっ! 春日さんのことをご存じでしたか。
ラジオ出演というのも、伊達ではなかったわけですね。
私からお礼を言うのも変ですが、ほめていただき、ありがとうございます。

あと、春日さんと同級生云々の話は、私が「博士論文……」と言っていることが、いわゆるフカシではないということの、証拠になるかなと思います。
こういう話って、案外、信じない人もいますでしょう? 「ただ、偉そうに言ってみせているだけだ。何の証拠もありゃあしない」って。

春日さんについて、某巨大匿名掲示板などでは、著書に間違い(誤植レベルのものではなく、記述内容の誤り)が多いとか、批判されているのですが。
新書とか、割と大きな出版社から出しているのに、校閲は何をやっているんだ……と思ってしまいます。
割と大手の有名な出版社でも、文責は著者にあるからといって、校閲をキチンとしないで済ませてしまうところ、案外、少なくないのです。

印刷に回す直前の最終確認の段階で、そうした誤りに気づいて上司に報告しても、「著者と出版社(編集者)が、もうこれで刷ってもいいと言っているんだから、このままでいいんだ」と、見なかったことにしたことも、1回や2回ではありません。
私に校閲をやらせてくれていたら……と思っても、どうにもならないのですよ。

> 出崎監督の著作復刻の情報も校閲の話が良かったのですが、自分にはその記事にコメントするだけの知識が無いような気がして……

う~ん。一定の知識がないと、コメントできないというか、コメントする資格がないような気がしてしまうのですね。
そんなに難しく考えなくても、もっと気軽に、思ったことを書いていただいて構わないんですよ。

とはいえ。私も、あんまり気軽にリコメしていませんから、人のことは言えないですね。
真摯にコメントしていただいた方には、真摯に返そうとして、ゆっくりと時間をとれて体調も悪くない時にじっくりと書くために、リコメが遅れがちですし。

気軽に、数行程度のコメントをもらった際には、私も気軽に、即座にリコメしてますから、相互作用なのですかね。

> 改めてすごい方だと思いましたし、私も元気を頂いたような気分になりました。

すごいかどうかは、ともかくとしても。こうやって反応をいただけたことで、私もエンパワーメントされました。
おかげさまで、この号の校閲は、無事に終了しました。
月曜からは、また、別の本一冊分の校閲が入る予定です。

ハナさん* URL | 2020/01/27 02:15 [ 編集 ]


T

rackback

この記事のトラックバックURL

https://flowerhill873.blog.fc2.com/tb.php/325-58c12a16


プロフィール

ハナさん*

Author:ハナさん*
2019.5.26付けで、Yahoo!ブログから移行してきました。
上記日付より前の記事は、Yahoo!ブログで書かれたものです。

移行から2年経過したのを機に、ブログタイトルを変更いたしました。
あわせて、紹介文も更新。

*代用ゲストブックあり
「カテゴリ」からどうぞ

〔ブログ紹介文〕
誰もが、たやすく発信者となれるネット時代。

文章で社会改革ができると思い込んでいたのは、若さゆえの過ちにすぎない。
けれど。
それでもまだ私は、文章を公表することは、無意味ではないと信じたい。

私がここに記すのは、単なるつぶやきの類いではない。
社会に向かって訴えたいこと、公表する意味があると思えることのみだ。
若い頃のように気負い込んで、大声で叫ぶことはできないけれど。

病気ではなく、障害でもなくても。諸々と生きづらい、おひとりさま介護の日々においても、光を求めて!

〔自己紹介〕
高校1年で発症した神経症性障害(身体表現性障害[身体症状症]その他)を、40年近くかけて乗り越える。
校正者として、非正規雇用勤続30年。数年前から校閲の仕事も行う。

1990年代、森田療法の研究で学士号取得後、カール・ロジャーズの直弟子が講師であるカウンセラー養成講座で単位取得。
地元の民間心理相談機関でセラピストのインターンとなり、各種心理療法を学修するが、自分は援助職には向いていないことを痛感。

アニメーションの研究で修士号取得。
博士課程・単位取得満期退学。
現在、博士論文のテーマを再検討中。専門は、巨大ロボットものの予定。

アクセスカウンター
フリーエリア
最新記事
Tree-Comment
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR