10.23
修士課程の恩師は今でもお元気で、新作能を作っていた件
先日ふと、通信制大学院の修士課程でお世話になった指導教授は、お元気なのだろうかと思った。いくら、「日本の伝統文化との関連」という視点を入れるとはいえ、日本の商業アニメーションに関する研究で修士論文を書くことを、許してくれた恩人である。もう、80代の半ばくらいになるはずだが、どうされているのだろうかと、唐突に思ったのだ。
そこで、その教授が主宰している学会のホームページ
https://ishcc.stars.ne.jp
に、本当に久しぶりにアクセスしてみた(一時期は私も所属していたのだが、ここ10年程は、ご無沙汰になってしまっていた)。
すると、まだまだお元気でいることに加え、今年の春には、先生が書かれた新作能『たたかわざる者─ヘンリー・ソローとR.H.ブライズ─』の公演が、行われていたこともわかった。
https://m.facebook.com/tatakawazarumono/
英語能やシェイクスピア能の台本を書かれたり、自ら自作のシテ(主役)を舞ったりしていた先生だが、
https://ishcc.stars.ne.jp/noh/japanese.html
シェイクスピア能以外にも、『トマス・ベケット』(T.S.エリオット原作『寺院の殺人』)、『二人のノーラ』(イプセン原作『人形の家』)、『ポトマック桜─尾崎行雄とエイブラハム・リンカンの夢─』といった作品を手がけるようになっていた。
そして今年は、『たたかわざる者』であるのだが。ヘンリー・ソローはともかく、R.H.ブライズ(レジナルド・ホーラス・ブライス)は、ある程度は英文学に詳しい方でも、「誰? それ」という感じであろう。
R.H.ブライズは、文学史においては、英語圏に俳句を紹介した文学者・日本文化研究者として、知られている。
だがそれ以上に、日本在住時に昭和天皇の「人間宣言」英文草案をつくり、皇太子(当時。現上皇)の英語教師(家庭教師)をした人として、有名である。
参照:上田邦義『ブライズ先生、ありがとう』三五館、2010年
https://www.e-hon.ne.jp/bec/SP/SA/Detail?Action_id=121&Sza_id=D2&refShinCode=0100000000000032414881
(実をいうと、この本を出されていたことも、今回初めて知ったのである。)
この新作能に興味のある方は、以下から、台本その他をダウンロードしてご覧になれる。
https://ishcc.stars.ne.jp/bulletin/27/index.htm
白状してしまうと私自身、まだ台本の全てを読んではいないのであるが。
ザッと流し読みをした範囲で印象に残ったのは、ラストで地謡(バックコーラスのようなもの)が謡う「人生に意味あるは、その苦闘が絶望的なるときのみと。絶望の中にのみ光あり」という言葉。
人生の真の意味は、苦闘の果て、深い絶望の彼方に、希望の光を見出した者にこそ、探し出せる。
現在の自分が置かれた状況に、妙にマッチしているように感じた。
このほど、病病介護のなかで、一大決心をして新たな一歩を踏み出すに至った
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-266.html
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-267.html
のには、この作品にふれたことも、関係しているのではないかと思う。
本当に、何の前ぶれもなく、上田先生のことを思い出した。そのことが、新たな一歩へとつながったのである。
何というか、不思議なめぐりあわせ、スピリチュアルな導き、いわゆるシンクロニシティというようなことも、感じてしまう出来事であった。
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