01.28
本当はいけないのだが─十数年ぶりの向精神薬
不眠を主訴として、精神科病院にかかっていた母は、長らく(アモバン・ネルボンの他に)コントールを処方されていた。だが、「自分の判断で減らしてよい。飲まずにいられれば、それに越したことはない」と言われていたため、入院時には持参しなかった。
そのコントールの代用として(恐らくは、術後せん妄の関係もあり)、入院中は、この薬を飲まされていたようだ。
長年、精神疾患に苦しんでいるとはいえ、私が精神科医にかかったり向精神薬を飲んだりしていた時期は、ごく僅かである。このソラナックスは、私が最も最近─とはいっても、十数年前になるが─、処方された薬である。
そして。母の退院直後。母の行動に関して、激烈な怒り発作を起こしてしまった朝。
床を激しく踏み鳴らしたために、衝撃で足を少し痛めてしまった。それに加え、呼吸と脈拍が乱れ、怒鳴り散らしたい衝動もおさまらず、このまま出勤して、一日中仕事をするのは、とても困難であると感じた。
そこで、母が飲まずにいたソラナックスを1錠拝借して、頓服として飲むことを選んだ。
その日は、予想通り副作用の眠気は強く感じたが、無事に仕事を終えることができた。
乱れきった心身を、無理に我慢して過ごすよりは、仕事の効率もよく、苦痛も少なかったと思う。
そして、数日前。
やはり、母の行動に由来する怒りが激しく、その他の様々なストレスも重なり、どうしようもなくなりつつあると、感じた日。
夕方に、またソラナックスを1錠飲んで、横になった。
それゆえか夜中までよく眠れ、夕食も手抜きで済ませて、あらためて眠りにつくと、翌朝は、目覚めも悪くなく、体調も好転していた。
たとえば、夫が風邪の際に処方された薬を、妻が風邪の際に飲むようなことは、断じてしてはならない。
他人が処方された薬を、もらって飲むようなことは、厳に慎むべきだ。
どんな副作用が生じるかわからず、効果がないどころか、状態が悪化することすら、あり得るのだから。
仕事柄、医薬品医療機器等法(旧薬事法)や医師法、医療法、薬剤師法、向精神薬取締法等は目にしており、その内容は理解している。
特に、向精神薬のような「危険な」薬は、厳しく規制されてしかるべきだと思う。
けれど。その薬について、物質名や作用機序・特徴・副作用等々をキチンと理解した上で、家族が処方された薬を、自己責任で飲むのであれば。それも、頓服として飲むのであれば。
それは、仕方のないこととして、許容されないだろうかと思う。
ここに、このようなことを記したところで、誰の許可を得られるというものではない。
さらに、家族が処方された向精神薬を飲んだというだけでは、罪に問われることもない。
ではなぜ、私はこの記事を書こうと思ったのか?
ひとつには、自分がこのような追いつめられた状況にあることを、示したかったのだろう。
けれどそれ以上に。
「他者が処方された薬を飲むことは、色々とマズイ事態を招きかねないから、素人が行うのは厳に慎むべきだ」と、語るとともに。
反面で、「薬のことを理解してうまく使い、効果を得られるのであれば…それはそれでよいよね?」と、誰かの同意を得たいのだと思う。
こんな状況にあるのなら、家族の薬を拝借しておらずに、精神科医を受診して、自分の薬を処方してもらうべきであろう。
それが果たせるまでのつなぎとして、とりあえず、こんなことをしている次第である。
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