06.14
新・病病介護短歌11:ひっそりと 治せるわざを 行うは……
6/12(水)
ひっそりと 治せるわざを 行うは
経営のため わかりはするが
*先日の「謎すぎる 治らぬ薬 出す医者と……」
https://flowerhill873.blog.fc2.com/blog-entry-220.html
で確認したように、この国で、フォーマルなな精神療法を行っている医療機関は、決して多くはない。そして、精神療法を行っている数少ない医療機関も、そのことを大々的に宣伝したりはせず、ひっそりと行っているようだ。
精神科病院で精神療法も行っている現職の精神科医によれば、精神療法を受けたい患者が殺到してしまうと、病院経営的に困ったことになってしまうから、精神療法は密かに行わざるを得ないのだということだ。
そういえば、母が通っている精神科病院でも、いつの間にかカウンセリング(具体的に何療法であるのかは不明)を受けられるようになっていたようだが、やはりひっそりと開始されていた。そして、そうした知る人ぞ知る……の状態でも、枠がいっぱいで、なかなか受けられないらしい。
精神療法を必要としている患者は数多いのに、保険制度の問題と人材不足で、需要に供給が全く追いついていないのである。本当に、困ったものだ。
上で触れた精神科医氏が、多分そうであるように、「あなたの病気を治療するためには、薬物療法よりも精神療法こそが必要です」と、治療法としてフォーマルな精神療法を提示できる医師が、どれだけいるのか。
数ある精神療法理論の中から、患者の病態に適した精神療法を選択して、キチンと実施できる=治せる精神療法を行える医師は、今の日本にどのくらいいるのか。
とはいえ。
かかっている医療機関で、精神療法を行っていないのであれば。かかっている医師が、薬物療法をするしか能がないとわかったのであれば。そんな医師はサッサと見限って、治せる精神療法を行える医師を探せばよいではないか(あるいは、精神療法を自学自習すればよいではないか)と、私などは思ってしまう。
様々な情報は、ネット等の発達により、昔よりはるかに入手しやすくなった。その気がありさえすれば、精神療法を行っている医療機関も、探し出せるのではないかと。
結局、患者のほうにも、「精神療法こそが、自分の病気に有効な治療法である」=「自分は、適切な精神療法を受ければ治る」という認識が足りないというか、確信を持てない方が多いのだろうか。だから、なかなか踏み出せない。ただズルズルと、治らない薬を飲み続けることになってしまう。
精神療法とかカウンセリングと言われるものが、実際にはどのようなもので、具体的にどんなことをして、どんなメカニズムで、どんな病態にどのように効くか。「効かない」とか、「何の役にも立たない」という人もいるが、そうした見解は、何ゆえに生じるのか。
そういったことがわからないと、多くの患者の方は、「自分は、適切な精神療法を受ければ治る」とは思えず、決して治りたくないわけではないのに、精神療法を受けに行こうとは思わない・受けに行かない、あるいは行かれないものであるのかもしれない。
それをただ単に、勉強不足・認識不足と責めるのは、酷というものだろう。全ての方が、専門書や学術論文を、難なく読みこなせるわけではないのだから。大多数の患者は、自分の病気のことを知るのに、一般向けに書かれた入門書の類を読めばよいほう……というのが、現状なのであろうから。
そうした意味では、私が四半世紀前に地元紙で連載したような、精神疾患に対する精神療法の必要性・有効性を語るエッセイも、有意義ではあったということだろうか。
- 関連記事
-
- 5年ぶりにベッドのシーツを替え、洗濯をして詠める(病病介護短歌):五年[いつとせ]の汚れ含めし夜具洗う…… (2019/08/12)
- 新・病病介護短歌13:我にしかできない仕事背負えるは…… (2019/07/21)
- 「おのれつなぐ 鎖 断ち切り……」と歌いながら、古いこだわりを捨てることにした件 (2019/06/25)
- その時が来れば、いくらでも動けるものだ (2019/06/19)
- 新・病病介護短歌12:今はただお金を託すそれだけが…… (2019/06/15)
- 新・病病介護短歌11:ひっそりと 治せるわざを 行うは…… (2019/06/14)
- 新・病病介護短歌10:謎すぎる 治らぬ薬 出す医者と…… (2019/06/11)
- 新・病病介護短歌9:早く逝け 長生きしてね つぶやける…… (2019/06/10)
- 「生還16.5年目の決意」から、3年も経ってしまった (2019/06/09)
- 新・病病介護短歌8:ささやかな工夫で身体[からだ]楽になる…… (2019/06/08)
- 新・病病介護短歌7:五十路半ば確かに無理は…… (2019/06/07)